トスカ、G. プッチーニ
ジャコモ・プッチーニの「トスカ」では、ロマンス、ドラマ、暴力、死など、すべてが語られています。このメロドラマ・オペラは、1900年1月14日、ローマのコスタンツィ劇場で初演されました。プッチーニの完璧な音楽は、テンポの速いストーリー展開とそこに生まれる緊張感にマッチしており、また心に響く、叙情的なデュエットやアリアが多くあらわれます。オペラ「トスカ」は、イタリア語で「真実味」を意味するヴェリズモのスタイルを体現しています。この作風では、舞台上の出来事はほぼリアルタイムで展開し、登場人物の行動はしばしばやや誇張され、衝撃的でもありますが、聴く者は、その世界に浸りきり、感情性を心ゆくまで味わうことができます。「トスカ」のリアリズムとドラマ性は、史跡アレーナ・ディ・ヴェローナという舞台で、その魅力を発揮します。チケットに含まれているのは、オペラの感動だけではありません。公演当日あるいはその前後のお好きな日に、ヴェローナの街をミニ列車で巡る観光ツアーもセットになっています。二本立てでお得なプランです。
巨匠ジャコモ・プッチーニ、脚本家ルイジ・イリッカとジュゼッペ・ジャコーザのトリオが大成功を収めたこの「トスカ」は、フランスのメロドラマ、ヴィクトリアン・サルドゥの「ラ・トスカ」を原作としています。ストーリーはある昼過ぎに始まり、夕方、夜を経て翌早朝まで展開されます。プッチーニの音楽による語りの才能と、脚本家の鋭い感性によって、公演ではこの時間が完全にリアルタイムに感じられます。タイトルにもなっている歌手のフローリア・トスカは、プッチーニのオペラの代表に典型的にあらわれる悲劇のヒロイン。美しく、うぬぼれの強い彼女は、感情に流され、それが悲劇をもたらします。彼女の恋人の元反体制派カヴァラドッシは、自由のための闘う仲間をかくまっていますが、彼の腑に落ちない行動からトスカは彼が浮気をしていると思い込み、怒りにまかせて冷酷な警察署長スカルピア男爵に彼の身を渡してしまうことになります。トスカは自分の犯した過ちに気づき、恋人の命を救う方法を探します。まだ間に合うのでしょうか。そして、どれだけの犠牲を払うことになるのでしょうか。
プッチーニは、彼の全てをかけて「トスカ」のアリアやデュエットを書きました。テノール、カヴァラドッシの「Recondita armonia 妙なる調和」、愛され続ける「E lucevan le stelle 星はきらめき」などは、美の極致であると言ってもいいでしょう。トスカも傑出したナンバー「Vissi d'arte 歌に生き、愛に生き」などで輝きを放ちます。アレーナ・ディ・ヴェローナでは、ロマンチックでありながら悲哀に満ち、攻撃的でダークなこの作品のスピード感あふれる展開とプッチーニのメロディーが美しく脈打つことでしょう。
チケットには、「トスカ」観劇とともに、ミニ列車による25分のヴェローナ市内観光が含まれています。公演当日、またはその前日か翌日に利用することができます。「トレニーノ(ミニ列車)」は、荘厳なアレーナのあるブラ広場から30分おきに出発し、ガヴィのアーチや城門などのローマ時代のものから、カステルベッキオ城やヴェローナのドゥオーモなどの中世の建造物、サンタナスタシア寺院などの初期ルネッサンス時代の建物など、千年にわたる歴史的スポットを中心に回ります。プッチーニの「トスカ」と観光ツアーで歴史に思いを馳せる体験をお楽しみください。