英雄シュトラウスの生涯
荘厳なヴェローナのフィラルモニコ劇場で、ドイツ・ロマン派を代表する作曲家リヒャルト・シュトラウスの生涯と作品に焦点を当てたコンサートが開催されます。このコンサートは、「英雄シュトラウスの生涯」と題され、文字通りシュトラウスの英雄的な生涯を扱った記念すべきものです。ヴェローナのこの歌劇場は、その音響が広く評価され、シュトラウス作品の演奏に理想的です。
コンサートは、シュトラウスが管弦楽のための交響詩として書いた「ドン・ファン」作品20で幕を開けます。ドン・ファンの物語は、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」など、以前からヨーロッパの音楽に登場していましたが、シュトラウスのバージョンは少々異なっています。これは、シュトラウスがより新しい語りを音楽にすることを選んだためで、この作品には、1851年、オーストリアの作家ニコラウス・レーナウの死後出版された彼の詩が原作に用いられました。1889年にワイマールで初演され、すぐに大成功を収めました。シュトラウスは、その時弱冠25歳で、当時の音楽批評家のほとんどが彼の傑出した才能に注目しました。
続いて演奏されるのはシュトラウスのホルン協奏曲第1番作品11。この曲はシュトラウスがさらに若かった頃に書かれたもので、父親がミュンヘン宮廷管弦楽団の首席ホルン奏者を務めていたこともあり、新進作曲家のシュトラウスが当時ホルン音楽に日常的に親しんでいたことを反映しているのかもしれません。シュトラウスは協奏曲を、当時の慣習通り、3楽章構成にしましたが、フェリックス・メンデルスゾーンがそのころ提唱した、最初の2楽章をつなげるという比較的大胆な方法をとっています。コンサートは、「アイン・ヘルデンレーベン」と呼ばれる作品40で締めくくられます。この交響詩のタイトルは「英雄の生涯」を意味し、初演は遅く1898年で、シュトラウスが以前に書いた作品からの引用が多いことを特徴としています。このため、多くの音楽学者は、シュトラウスが音楽の英雄、おそらくは彼自身について書いたのだと考えています。
細部にまで手の行き届いた会場で行われる魅力的な3つの楽曲のこのコンサートは、リヒャルト・シュトラウスの音楽を初めて聴く方々にとっては、彼をより深く知るための絶好の機会となるでしょう。そしてすでに彼のファンである方々は、この豊かでバラエティに富んだプログラムにご満足いただけるに違いありません。