マタイ受難曲、J.S.バッハ
![マタイ受難曲、J.S.バッハ](https://operaticketsitaly.com/img/gallerybig/thumb_10843.jpg)
高い評価を受けているオランダ出身のオルガニスト兼指揮者、トン・コープマンがフェニーチェ歌劇場のステージで、ヨハン・セバスティアン・バッハのオラトリオ「マタイ受難曲BWV244(原題はMatthäus Passion)」を演奏します。フェニーチェ歌劇場管弦楽団とソロ・ヴォーカリストたち、そして同じくフェニーチェ歌劇場の合唱団とヴェネツィアの児童合唱団「Piccoli Cantori Veneziani」の共演を、コープマンが指揮します。
「マタイ受難曲」は、バッハがルター聖書の聖マタイによる福音書の2章を音楽にしたもので、バロック音楽としてのみならず、教会音楽の合唱曲の傑作として広く知られています。2つの合唱団のために編曲されたおり、「聖ヨハネ受難曲」とともに、今日まで残っているバッハの2つの受難曲のうちの1曲とされています。初演日は不明ですが、ライプツィヒの聖トーマス教会で1727年の聖金曜日、または聖週間のその頃だったと考えられています。
「マタイ受難曲」は、イエス・キリストの生涯最後の数日間の物語です。台本を書いたのはピカンダーという人が書いており、それはバッハの仲間だったクリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィのペンネームだったことが現在では知られています。キリストが裏切られ、残酷に処刑された運命の週末に登場するさまざまな人物を歌手たちが演じます。そこには、キリスト自身、ユダ、聖ペテロはもちろん、兵士、奴隷の少女、当時の高位聖職者など、あまり知られていない人物も登場します。
バッハは、聖マタイの福音書に記されている出来事の中に、より広い聖書の物語を反映させる方法として、コラールとアリアを多用しました。時には、物語には展開がなく、より新しい神学的文脈、即ちバッハのルター派の伝統の文脈が表されています。これは、コラールの歌詞とメロディーがルター派の賛美歌集から引用されているからです。作品が発表された当時、バッハがこの曲に織り込んだ和声は斬新であったとしても、コラールの歌詞とメロディーはライプツィヒの信徒にはよく知られたものだったでしょう。
トン・コープマンは、2006年にライプツィヒ市のバッハ賞を受賞し、チェンバロ奏者およびオルガニストとして、バロック時代の音楽からロマン派の音楽まで、あらゆるジャンルの作品を演奏しています。今日、彼は、特にバッハの作品を含む歴史的な音楽の演奏の分野の世界的権威として広く認められています。
2つの合唱団、素晴らしい会場、そして名指揮者。ヴェネツィアのフェニーチェ大劇場でのこのコンサートは、聴き応えのあるものに違いありません。