狂えるオルランド 、A.ヴィヴァルディ

アントニオ・ヴィヴァルディの「狂えるオルランド」は、その名にふさわしく、平坦ではない道を歩みました。イタリアン・バロックの大作曲家ヴィヴァルディは、1713年にジョヴァンニ・アルベルト・リストーリによって書かれた楽譜からインスピレーションを受けました。残念ながら、リストーリの楽譜は今は失われています。ヴィヴァルディの原曲は、1714年に、彼がヴェネツィアのサンタンジェロ劇場の監督に就任して間もない頃、同劇場で初演されました。それから10数年後、ヴィヴァルディはこの作品を再検討し、改作を加え、1727年11月、同じサンタンジェロ劇場で第2版が上演されました。このオペラのストーリーは、ルドヴィコ・アリオストの同名の叙事詩がもとになっています。リブレットはグラツィオ・ブラッチョーリが担当しました。ヴィヴァルディの才能をオペラというジャンルで体験するのは、貴重な機会です。ヴェネツィアのマリブラン劇場でどうぞお楽しみください。
「狂えるオルランド」のストーリーは、騎士、妖精、その他の架空の人物が登場し、皆がそれぞれ誰かに恋していることから、複雑に絡み合っていっます。主人公のオルランドはアンジェリカに恋していて、彼女の恋人、メドーロ王子に嫉妬しています。オルランドの仲間、騎士ルッジェーロに恋心を抱く魔法使いのアルチーナ。彼女は魔法の力を使って彼を誘惹き付け、彼の恋人の女戦士ブラダマンテのことを一時でも忘れさせることに成功します。アンジェリカとアルチーナは、オルランドに罠を仕掛け、作り話をします。オルランドは、それでも洞窟で怪物の虜にはならず逃亡に成功し、アルチーナとアンジェリカへの復讐を企てます。タイトル「狂えるオルランド」通り、オルランドの狂乱ぶりは想像を絶するものでした。
「狂えるオルランド」は、初期のオペラの作曲技法が融合した興味深い作品です。アリアもレチタティーボもダイナミックな演奏で、ヴィヴァルディのメロディーの才能がすべてに光っています。ストーリーは、いくつかの神話とアリオストの解釈をブラッチョーリが組み合わせて脚本にしたものです。ヴェネツィアのマリブラン劇場では、この初期のオペラを、現在分かっている限り最も完全な形で上演します。ヴィヴァルディとイタリアン・バロックのファンにとって、この公演は見逃せないものに違いありません。